ずっしり落ち込む後味の悪い映画が大好物です。
見たことを後悔するほど落ち込むことがあるけど、それがクセになるんですよね。
▽このブログでも重い映画をまとめた記事をいくつか書いてきました。
今日はイギリス・エンパイア誌が選んだ『落ち込む映画トップ10』と管理人あかりが選んだ「ずっしり落ち込む映画」を併せて紹介していきます。
参考:イギリス・エンパイア誌が選んだ『落ち込む映画トップ10』
以下、まずはエンパイア誌が選んだ『落ち込む映画トップ10』からご紹介します。
※結末そのものには触れていませんが、雰囲気は伝わる場合がありますので、未見の方はご注意ください。
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『レクイエム・フォー・ドリーム』/ドラッグから抜け出せない地獄
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ジャレット・レト/ジェニファー・コネリー
製作:2000年/アメリカ
テレビを見るのが何より楽しみな中年未亡人サラは、ある日テレビ番組への出演依頼の電話を受け、お気に入りの赤いドレスでテレビへ出るためダイエットを始める。一方、息子のハリーは恋人マリオンとのささやかな夢を叶えたいと麻薬売買に手を染める。季節が変わり、赤いドレスが着られるようになったサラはダイエット薬の中毒に、麻薬の商売がうまくいかなくなったハリーとマリオンは自らがドラッグの常用者となっていた……。映画.com
軽い気持ちで手を出したドラッグにより、人生が崩壊していく人々の姿を描いた鬱映画の名作。
鬱屈した日常から逃避や手軽なダイエットの手段として「ドラッグ」が登場します。ドラッグを使用している本人は「状況をコントロールできている」と思っている…。
しかしドラッグは確実に人々の体と心を蝕み、人生を崩壊させる。
おそいかかる禁断症状、幻覚、妄想…。ドラッグの持つ負の力に脅かされ苦しめられながらも、その苦しみから逃れるためにはドラッグに頼るしかないという絶望的な悪循環が描かれます。
それでもあなたはドラッグを使いますか?
『ひとりぼっちの青春』/ただひたすら踊り続ける、他の誰かが倒れるまで
監督:シドニー・ポラック
出演:ジェーン・フォンダ/マイケル・サラザン
製作:1969年/アメリカ
大恐慌の30年代、当時流行していたマラソン・ダンスのコンテストには、高額の賞金を求めて様々な男女が参加していた。身重の女、年をとった船乗り、そして、ふとしたきっかけでパートナーを組むことになったロバートとグロリアもいた。だが過酷なコンテストに続々と脱落者が出て……。映画.com
鑑賞前はそのタイトルから「ダンスパーティーで踊る相手が見つからなくて困っている孤独な若者」を連想していました。
けれど、そういう青春の孤独を描いた作品ではないんです。
本作の主題はかつてアメリカで実際に行われていたという「ダンスマラソン」。
時間無制限でひたすらダンスをして、最後まで踊り続けた1組だけに高額の賞金が与えられるという地獄の耐久ダンス大会を描いています。
参加者たちは踊りながら食べ、眠る時はパートナーに寄りかかってウトウトするのみ。疲労で気が狂い、倒れる者が続出しても止めようとしない。
踊り続けた先に彼らを待っていたものとは?
気力を根こそぎ奪い去っていく破壊力がありました。
第42回アカデミー賞で9部門にノミネート。(うち助演男優賞を受賞)
『リービング・ラスベガス』/死にゆく男に寄り添う女
監督:マイク・フィッギス
出演:ニコラス・ケイジ/エリザベス・シュー
製作:1995年/アメリカ・イギリス・フランス
大都会ラスベガスで出会ったアルコール依存性の男と娼婦の束の間の恋を描いた、異色のラブ・ストーリー。映画.com
アルコール依存症ですべてを失った男は死ぬまで酒を飲み続けようと決めてラスベガスにやってきた。そこで1人の娼婦と出会う。
互いの傷を舐めあうように寄り添う2人、避けられない悲劇的な結末…。
ラスベガスのきらびやかなネオンが、2人が生きる闇の世界をより濃く映し出します。最初から最後までまったく救いがなく、鑑賞後、1週間くらい落ち込んだままでした。
ニコラス・ケイジがアカデミー主演男優賞を受賞。
『道』/愚かな道化師の物語
監督:フェデリコ・フェリーニ
出演:アンソニー・クイン/ジュリエッタ・マシーナ
製作:1954/イタリア
旅回りの道化師と一人の女をめぐって人生の哀歓をつく、五四年ヴェニス国際映画祭サン・マルコ銀獅子賞、五六年ニューヨーク映画批評家協会最優秀外国映画、五六年アカデミー最優秀外国映画賞各受賞の話題作。映画.com
奴隷として売られたジェルソミーナと、彼女を買ったザンパノ。
ザンパノはおそらくまともな家庭で育っていないだろうと思われる粗野で無知で、他者に対する思いやりに欠ける男…。
生まれてきた家や時代が違っていれば、2人の人生はもっと別なものだったのでしょう。もっと優しいものだったかもしれない。けれど現実は2人とってひどく残酷なものだった。
いつだって気づいた時には遅い。
「大切なものは無くしてから気づく」
本人たちでさえ気づいていなかった哀しい愛の物語です。
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『21グラム』/魂に重さはあるのか?
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ショーン・ペン/ナオミ・ワッツ/ベニチオ・デル・トロ
製作:2003年/アメリカ
余命1カ月と診断されて心臓移植の提供者を待つポール、夫と娘たちと幸福な生活を営むクリスティーナ、強い信仰心を持つ前科者ジャック。ある事件を契機に、3人の男女の運命が交錯していく。映画.com
1つの心臓をめぐる物語。時間軸を複雑に行き来しながら、本来ならば交わるはずがなかった3人の男女の運命を描きます。
タイトルの「21グラム」は魂の重さ。
人間は死ぬと魂を失い、21グラム体重が軽くなると言われているのだそうです。(※20世紀初頭に行われた実験によるもの。現在では科学的な根拠はないとされています。)
「死と生」にまっすぐに向き合った作品でとても重い作品です。鑑賞後、切ないような哀しいような、優しいような複雑な感情が湧きました。
『火垂るの墓』/戦争アニメの名作、必死に生きようとした兄と妹の物語
監督:高畑勲
出演:辰巳努/白石綾乃
製作:1988年/日本
昭和20年の神戸。急な空襲で母が入院した、14歳の清太と4歳の節子兄妹は、叔母のもとを頼りに訪れる。だがふたりの母が亡くなったのを機に叔母は彼らを邪険にしはじめ、清太は節子を連れて誰もいない防空壕へ。ふたりだけの自炊生活をはじめるが・・・。Yahoo!映画『火垂るの墓』
日本のアニメ映画。故・高畑勲の代表作です。今でも夏になると毎年のように地上波で放送されますね。14歳と4歳の幼い兄妹が2人だけで戦争を生き抜こうとする姿が描かれます。
わずか14歳の少年が幼い妹を必死に守ろうとします。
管理人が初めてこの映画を見た年齢が14歳でした。もしも清太が自分だったら、、?両親が死んでしまった世界で妹を守れるだろうか?と考えました。
正直に「無理」だと思いました。ごめーん、妹。私では面倒見られないと思います…。
つかのまの楽しい時間が美しく描かれるので、どうか生きのびてと祈るような気持ちになります。けれど、楽しい時間はまるでホタルの灯りのようにすぐに消えてしまうのです…。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』/母の愛か?それとも狂気か?
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:ビョーク/カトリーヌ・ドヌーヴ
製作:2000年/デンマーク
アメリカの片田舎。チェコ移民のセルマは息子ジーンと2人暮らし。つつましい暮らしだが、隣人たちの友情に包まれ、生きがいであるミュージカルを楽しむ幸せな日々。しかし彼女には悲しい秘密があった。セルマは遺伝性の病で視力を失いつつあり、手術を受けない限りジーンも同じ運命を辿ることになるのだ……。映画.com
最初から最後まで過酷です。特にあまりにショッキングなラストシーンは世界中で多くの人にトラウマをもたらしました。
管理人あかりが人生で一番泣いた映画です。
ショックが強すぎて、エンドロール中、ひたすら泣きました。映画館を出た後も泣きながら街をさまよい歩きました。魂の底から叫ぶようなビョークの歌声が頭から離れず、その夜は一睡もできませんでした。そして高熱を出して寝込みました。
セルマは決して利口な人間ではない。しかし心から息子を愛し、愚直なほどに健気に生きていました。なぜセルマはここまでの過酷な運命を与えられなければならないのか…。理不尽な現実に怒りを感じました。
そして「母である」ということは、ここまでの犠牲を払わねばならないのか、と「母」として生きることの重さに恐怖さえ覚えました。
愛どころか完全に狂気やで、と思いました。。。
『冬の光』/スウェーデンの巨匠が「神の不在」を描く
監督:イングマール・ベルイマン
出演:グンナール・ビョルンストランド/マックス・フォン・シドー
製作:1962年/スウェーデン
スウェーデンの漁村で牧師をしているトマスは、最愛の妻に先立たれてから失意の底にいた。新しい恋人のマルタとの関係もうまくいかずに疲れ果て、牧師としての自信も失っている。そんなある日、深い悩みを抱えた夫を助けてほしいという信者の女性の相談を受けるが、ありきたりな言葉しかかけてやることができない。やがて女性の夫は自殺してしまい……。映画.com
スウェーデンの巨匠ベイルマンの「神の不在」をテーマにしており、哲学的で難解な作品らしいです。管理人は未見なので鑑賞したら感想を追記します。
『リリア 4-ever』/作りごとではない現実、人身売買の悲劇
監督:ルーカス・ムーディソン
出演:オクサナ・アキンシナ
製作:2002年/スウェーデン・デンマーク
母親に捨てられた16才の少女リリアは”生きるため”に売春を続けていた。
ある日、リリアはハンサムで優しい青年に出会う。新天地で新生活を始めようという男の甘い言葉にリリアは心躍らせた。しかし彼女を待っていたのは想像を絶する過酷な運命だった。
母に捨てられた少女にとって、恋人の言葉は悪夢のような生活から逃れる唯一の希望の光だったはず。しかし、その言葉は偽りでリリアは心身を踏みにじられ、表情も感情もなくしていく…。
リリアの歩んだ壮絶な人生に言葉を失うことでしょう。
『ミリオンダラー・ベイビー』/イーストウッドが贈る名作
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド/ヒラリー・スワンク
製作:2004年/アメリカ
ロサンゼルスの寂れたボクシングジムの門を叩いた田舎育ちのマギー。ジムのオーナー兼トレーナーのフランキーは彼女を拒んでいたが、彼女の真剣さに打たれ、彼女のトレーナーとなる。お互いに父娘の関係をなくしている2人は、激しいトレーニングの中で人間的に歩み寄っていく。映画.com
物語の前半は親子のようなフランキーとマギーの姿が微笑ましく感じるでしょう。
フランキーは実の娘とは疎遠になっており、マギーも家庭に問題を抱えています。互いに足りないものを埋めながら、傷ついた心を癒しているように見えました。
「ちょっとイイ話」「ハートウォーミング」な映画なのかな、と思いそうになりましたが、イーストウッドをなめてはいけません。物語が急展開する後半から結末にかけて放心状態。
哀しさと同時に「優しさ」も感じさせる結末です。
以上はエンパイア誌が選んだ『落ち込む映画トップ10』でした。
\映画・ドラマを楽しむなら/
これ以降は管理人あかりが今までに見た『ずっしり落ち込んだ後味の悪い映画』をご紹介します
『スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜』/ヘンタイが仕掛ける罠
監督:ジャウマ・バラゲロ
出演:ルイス・トサル/マルタ・エトゥラ
製作:2011年/スペイン
バルセロナのマンションで住み込み管理人として働く男セシルは、美しい住人のクララに目を奪われる。合鍵を自由に使える立場を利用したセシルはクララの部屋に忍び込み、ベッドの下で息を潜めてクララを待つようになる。映画.com
よくある「ストーカーもの」だと思いながら油断して見ていると、主人公セサルの尋常でない屈折ぶりに開いた口が塞がらなくなることでしょう。
作品の中でセサルが繰り返す不法侵入や嫌がらせ行為の内容が気持ち悪く、吐き気を催します。特に○○○○のシーン…。ヘンタイという言葉はまさにセサルのためにある!(※黒光りするGが出ます!Gが苦手な人は見ないでくださいね。)
孤独な男性が、美しいクララの気を引きたくて嫌がらせをしているのだと思いきや…、想像を超えたクライマックスに背筋が凍りつきました。
後味が心の底から最悪です。セサルがヘンタイの道を極めています
『4ヶ月、3週と2日』/友のために少女は走る
監督:ジャウマ・バラゲロ
出演:ルイス・トサル/マルタ・エトゥラ
製作:2011年/スペイン
チャウシェスク独裁政権によって個人の自由が制限されていた80年代のルーマニア。大学生のオティリアは、ルームメイトのガビツァの違法中絶を手助けするべく準備を進めていた。ところが、手術当日に思わぬ問題が発生する。映画.com
中絶が違法とされるルーマニアで、妊娠した友人の中絶を手助けしようとする若い女性の姿を描く。
望まない妊娠は自己責任であり、妊娠してしまった女性にも責任がある。確かに一面ではその通りなのかもしれません。
けれど、本作において違法な中絶のために危険を犯し、大金を払い、心と体に傷を負うのは女性だけ。父親の姿は一切描かれていません。
女性たちの哀しみと痛みを男性は理解しているのだろうか…?やりきれない重苦しさが残る作品です。第60回カンヌ映画祭パルム・ドール受賞。
『灼熱の魂』/観客の心も焼き尽くす結末
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
出演:ルブナ・アザバル/メリッサ・デゾルモー=プーラン/マキシム・ゴーデット
製作:2010年/カナダ・フランス
心を閉ざして生きてきた中東系カナダ人女性ナワルは、ある日、実の子で双子のジャンヌとシモンに謎めいた遺言と2通の手紙を残してこの世を去る。手紙はジャンヌとシモンが知らされていなかった兄と父に宛てたもので、まだ見ぬ家族を探すためナワルの母国を訪れたジャンヌとシモンは、母の痛切な過去と向き合うことになる。映画.com
監督は『メッセージ』『プリズナーズ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。
謎めいた言葉を残して中東系カナダ人の母親が突然亡くなり、残された双子の姉弟が母の人生を辿っていきます。
だんだんと明らかにされていく中東での母の人生は、日本で生きる私たちの現実と大きくかけ離れています。物語が進むにつれ、その過酷さに打ちのめされる。
しかしそれは序の口…。終盤で目にする結末は受け入れることを拒否したくなるでしょう。
真実が明かされる瞬間。
ヒロインが悲鳴のような声を上げたのと同じタイミングで、私も声を上げました。ここでは詳しく書きません。ぜひ、心がつぶれそうな衝撃を味わってみてください。
母親の愛とは…ということも深く考えさせられる作品でした。
週末に見たら翌週の半ばまで放心状態を引きずりました。。この結末、言葉も出ません。
『噂の二人』/タイトルに騙されてはいけない
監督:ウィリアム・ワイラー
出演:オードリー・ヘップバーン/シャーリー・マクレーン
製作:1961年/アメリカ
17歳のときから親友同士のカレンとマーサは、今では共同で女学校を経営していた。カレンにはジョーという恋人がおり、2人はついに婚約した。しかし経営が軌道に乗りはじめた時期でもあり、マーサは嫉妬し、カレンと口論になる。さらに、わがままな生徒メアリーによって2人が同性愛関係にあるとの噂を流されたことから、平穏だった暮らしは次第に崩壊していく。Wikipedia
タイトルの雰囲気からコメディと間違いそうですが、うっかり見ると後悔するシリアスな内容の作品です。
少女の嘘から2人の女性の人生が崩壊させられるのですが、少女には明確な悪意があります。悪びれる様子もないのでぶっ飛ばしたくなります。可愛げなさすぎ!
1人の少女のたった1つの嘘によってあっさり人生が叩き壊されていく様子は恐怖でしかありませんが、それ以上に「真実が持つ破壊力」の凄まじさに恐怖を覚えます。衝撃的な結末に言葉を失うことでしょう。
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